認知症の予防は、多くの方にとって関心の高いテーマです。このたび、アメリカの大規模な長期研究で、ある種の脳のトレーニングが認知症になるリスクを長期間にわたって減らす可能性が示されました。この研究結果は、私たちの認知症予防への取り組みに新たな光を当てています。
📍 10秒でわかるニュースの要点
- 長期にわたる研究で、特定の脳トレーニングが認知症のリスクを減らすことが示されました。
- 特に「処理速度トレーニング」を受けたグループで、20年後の認知症発症が少なかったです。
- 薬剤を使わない方法で、認知症リスクが長期的に低下することが初めて示された画期的な結果です。
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ニュースの内容をわかりやすく解説
今回注目されているのは、「ACTIVE研究(アクティブ研究)」と呼ばれる大規模な調査です。これは「Advanced Cognitive Training for Independent and Vital Elderly」の略で、日本語では「高齢者の自立と活力のための高度な認知トレーニング」という意味です。
この研究は1990年代後半に始まり、約3,000人の高齢者が参加しました。参加者は、記憶力、推論力、そして「処理速度」という3種類の脳トレーニングのいずれかを行いました。
研究の結果、特に「処理速度トレーニング」を受けたグループに大きな効果が見られました。このトレーニングは、コンピューターの画面に現れる情報を素早く見つけ出し、同時に複数のことを処理する能力を高めるものです。
初期のトレーニング後、1年後と3年後に「ブースターセッション」という追加のトレーニングを受けた参加者は、受けなかったグループと比較して、その後の20年間で認知症と診断されるリスクが25%も低いことが分かりました。
他の記憶力や推論力のトレーニングも、一時的に日常生活の課題をこなす能力を改善する効果はありました。しかし、今回の20年という長期間の追跡調査では、認知症になるリスクを大きく減らす効果は処理速度トレーニングに特有のようでした。
このトレーニングは、およそ5~6週間の間に合計10回程度のセッションで行われ、1回あたり60~75分でした。
今回の研究成果は、非常に画期的なものとして注目されています。なぜなら、薬を使わない方法(非薬物介入)が、認知症の発症リスクをこれほど長い期間にわたって減らすことを、大規模な比較試験ではっきりと示した初めての結果だからです。
特に、トレーニングを受けた多くの参加者が90代になってもその効果が続いていたことは、脳の健康維持に対する希望をもたらすものです。
私たちの将来や生活への影響
この研究結果は、私たちの将来の認知症予防の考え方に大きな影響を与えます。これまで、脳トレーニングの効果についてはさまざまな意見がありましたが、今回の長期にわたる大規模な研究によって、特定の種類の脳トレーニングが認知症のリスクを実際に減らすという科学的な根拠が強まりました。これは、薬に頼らない方法で脳の健康を守れる可能性を示しています。
特に、「処理速度トレーニング」のような、脳が情報を素早く正確に処理する能力を高める活動が重要であるという点が明らかになりました。この種のトレーニングは、日々の生活の中で集中力や判断力を使う場面を増やすことにもつながります。例えば、料理の段取りを考えたり、複雑な地図を読み解いたりすることも、脳を活性化させる良い機会となり得ます。
また、この研究は、一度トレーニングを経験するとその効果が20年後も続く可能性があることを示しています。これは、若い時期から脳の健康に意識的に取り組むことの重要性を教えてくれます。
認知症予防のためには、体を動かす運動も非常に大切だとされています。運動は脳への血流を良くし、神経細胞の成長を助ける物質(BDNF、ビーディーエヌエフ)の分泌を促すからです。今回示された脳トレーニングの長期的な効果と合わせ、心身ともに活動的な生活を送ることが、認知症予防への最も効果的な道と言えるでしょう。
私たち一人ひとりが、今日からでもできる脳と体の健康への投資を始めることが、元気で充実した老後を送るための鍵となります。



