最近の複数の研究により、帯状疱疹のワクチンが、単に帯状疱疹を予防するだけでなく、認知症の発症リスクを減らしたり遅らせたりする可能性が示されています。このニュースは、私たちが年齢を重ねても脳の健康を保つための新しい視点をもたらし、将来の認知症予防戦略に希望を与えてくれるものです。
📍 10秒でわかるニュースの要点
- 帯状疱疹ワクチンが、認知症になるリスクを下げる可能性が示されました。
- ワクチン接種者は、認知症の発症が遅れる傾向にあると複数の研究で報告されています。
- この予防効果は、特に女性で顕著に見られ、新しい予防法として期待が高まっています。
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ニュースの内容をわかりやすく解説
最近のいくつかの大規模な研究で、帯状疱疹(たいじょうほうしん)のワクチンを接種することと、認知症の発症リスクが低いことに関連があることが分かってきました。
例えば、イギリスのウェールズで行われた大規模な調査では、帯状疱疹ワクチンを接種した人は、接種していない人に比べて、約7年間のうちに新しく認知症と診断されるリスクがおよそ20%低いことが明らかになりました。この効果は、特に女性においてより強く見られたと報告されています。
また、アメリカでの別の研究では、新しい帯状疱疹ワクチン「シングリックス」を接種した人は、従来のワクチンや他の種類のワクチン(インフルエンザなど)を接種した人に比べて、認知症やアルツハイマー病を発症するリスクが17%から32%低いことが示されました。さらに、ある最新の研究(2026年2月)では、認知症のリスクが51%も減少するという報告もあります。ワクチン接種によって、認知症と診断されるまでの期間が長くなったり、認知症による死亡のリスクが約30%減る可能性も指摘されています。
なぜこのような効果があるのか、詳しい仕組みはまだ研究中ですが、いくつかの考え方があります。帯状疱疹は、子どもの頃にかかる水ぼうそうのウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)が体の中に潜んでいて、免疫力が落ちた時に再び活発になることで起こります。このウイルスが再び活発になることで、脳の中で炎症(脳の組織が傷つくこと)が起きたり、神経や血管が傷ついたりすることが、認知症の発症につながるという仮説があります。ワクチンは、このウイルスの再活動を防ぐことで、脳へのダメージを減らし、結果として認知症のリスクを下げると考えられています。
また、ワクチンが体の免疫システム全体に良い影響を与え、「脳の健康を守る手助けをしている」という説もあります。これらの研究は、主に「観察研究」(病気になった人とそうでない人を比較する研究)が中心であり、ワクチンが直接認知症を防ぐと確定的に言うには、さらに詳しい研究が必要です。しかし、多くの研究で一貫して良い結果が出ていることは、この分野の大きな進歩と言えるでしょう。
私たちの将来や生活への影響
この研究結果は、私たちの将来の健康や生活に大きな影響を与える可能性があります。認知症は、超高齢社会である日本にとって非常に深刻な課題であり、その予防はますます重要になっています。帯状疱疹ワクチンが認知症予防の一助となる可能性は、私たちが日々の生活の中で取り組める新たな予防策として期待されます。
現在、日本で接種できる帯状疱疹ワクチンには、生ワクチンと「シングリックス」と呼ばれる不活化ワクチンの2種類があります。どちらのワクチンも帯状疱疹自体の予防効果がありますが、今回の研究ではシングリックスでより高い認知症リスク低下の関連が報告されているものもあります。
もちろん、ワクチン接種はあくまで予防策の一つであり、健康的な生活習慣を送ることも大切です。例えば、バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠は、脳の健康を保つために欠かせません。また、人と交流したり、新しい趣味を見つけたりして、脳に刺激を与えることも、認知機能の維持に役立ちます。
今回のニュースは、帯状疱疹ワクチンが単に帯状疱疹のつらい痛みから私たちを守るだけでなく、認知症という大きな病気への備えにもなるかもしれないという、新たな視点を与えてくれました。50歳以上の方は帯状疱疹ワクチンの接種を検討できますので、ご自身の健康状態やワクチンについて、かかりつけ医にご相談いただくことをお勧めします。



