認知症の症状は、もの忘れだけではありません。最新の研究により、正式な診断を受ける数年も前から、お金の管理に変化が現れる可能性があることが分かってきました。この発見は、認知症の早期発見に役立つかもしれません。

📍 10秒でわかるニュースの要点

  • 認知症と診断されるより何年も前から、お金の管理に問題が出ることが研究で示されました。
  • 請求書の未払いや信用スコアの低下などが、早期の兆候として見られます。
  • 金融行動の変化を早期に察知できれば、適切な支援につながる可能性があります。

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ニュースの内容をわかりやすく解説

最近の研究によって、高齢者の金融に関する判断能力は、脳の機能が衰え始める初期の段階で低下しやすいことが分かってきました。これは、もの忘れなどの認知症の典型的な症状が現れるよりも、何年も前のことです。例えば、ある研究では、認知症と診断される最大6年前から、請求書の支払いを忘れるといった問題が見られました。

具体的な例としては、クレジットカードの未払いや、住宅ローンなどの返済の遅れ、信用スコア(個人の信用度を示す点数)の低下などが挙げられます。 また、別の調査では、認知症の診断を受ける約8年前から、高齢者の世帯の貯蓄額(純資産)が半分以下に減少していたという報告もあります。

なぜ、このようなことが起こるのでしょうか。お金の管理には、計画を立てる、判断する、問題を解決するといった、複雑な脳の働き(実行機能と呼びます)が深く関わっています。認知症が始まると、これらの脳の機能が少しずつ衰え、結果としてお金を適切に管理することが難しくなるのです。 これは、日常生活を送る上で大切な能力が、知らず知らずのうちに影響を受けていることを示しています。

研究者たちは、個人の信用情報や医療記録などの大量のデータを分析することで、こうした金融行動の変化と認知症との関連を見つけ出しました。 この分析により、学歴が低い方ほど、診断のかなり早い段階から金融上の困難を抱えやすい傾向にあることも示されています。

ニュースの背景と影響

今回の研究結果は、認知症の早期発見に向けた新たな道を開くものです。これまで見過ごされがちだった金銭管理の問題が、認知機能の低下を示す重要な手がかりになるかもしれません。家族や金融機関の専門家が、これらの兆候に早く気づくことで、経済的な損失や詐欺(だます行為)から高齢者を守る機会が増えると考えられます。

しかし、こうした変化に気づくのは簡単ではありません。なぜなら、お金の管理は非常に個人的なことで、本人も自分の能力が衰えていることに気づかない(これを「病態失認」と呼びます)場合が多いからです。 家族にとっても、プライベートな問題に立ち入ることは難しく、適切な時期に支援を始めることが課題となります。

私たちにできる備え

このニュースを受けて、私たちにできることはたくさんあります。まず、ご家族で日頃からお金の話を気軽にできる関係を築くことが大切です。例えば、通帳やオンラインバンキングの履歴を一緒に確認するなど、定期的に金銭の流れに異常がないかを見守る習慣を持つと良いでしょう。もし不審な点があれば、早めに専門家(かかりつけ医や地域包括支援センターなど)に相談してください。

将来に備えて、元気なうちに「財産管理委任契約」や「任意後見契約」など、もしもの時に備えて信頼できる人に財産管理を任せる準備をしておくことも重要です。 加えて、バランスの取れた食事、適度な運動、社会とのつながりを保つことは、脳の健康を維持し、認知症のリスクを減らすことにつながります。早期の気づきと備えが、私たち自身の、そして大切な家族の将来を守る大きな力となるでしょう。