私たちの脳の健康は、人生の質に深く関わります。特に、認知症予防への関心は高まっています。今回、脳への衝撃が原因で起こる「慢性外傷性脳症」という病気と認知症との間に、これまで以上に強い関係があることが、新たな研究で示されました。
📍 10秒でわかるニュースの要点
- ボストン大学の研究で、慢性外傷性脳症(CTE)が認知症の主要な原因となることが示されました。
- CTEの症状は、これまでの行動問題よりも思考力や記憶力の低下が大きいと強調されています。
- 進行したCTEを持つ人は、認知症を発症する可能性が約4倍高まることが判明しました。
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ニュースの内容をわかりやすく解説
今回注目されている「慢性外傷性脳症(まんせいがいしょうせいのうしょう)」は、英語の頭文字をとってCTE(シーティーイー)と呼ばれます。これは、頭部に繰り返し衝撃を受けることで起こる脳の病気です。
特に、ボクシングやアメフト、ラグビー、サッカーといった接触の多いスポーツの選手や、軍務に就いていた人々に多く見られるとされています。
これまでCTEの症状としては、抑うつ(気分が落ち込むこと)や攻撃的になるなどの行動の変化が知られていました。
しかし、ボストン大学CTEセンターが行った大規模な研究では、その見方が大きく変わる可能性が示されました。
この研究は、614人の脳を提供してくれた方々の脳を詳細に調べたものです。
研究者たちは、CTE以外の脳の病気がない脳だけを選び、生前の症状と脳の状態を比べました。
その結果、進行したCTEを持つ人では、認知症(思考力や記憶力が低下する状態)を発症する可能性が約4.48倍も高くなることが分かりました。
これは、アルツハイマー病が認知症を引き起こすのと同じくらい強い関係性です。
また、この研究では、軽い段階のCTEと認知症や認知機能の低下との間には、はっきりとした関連性が見られませんでした。
つまり、CTEが進行すると、行動の問題よりもむしろ認知症のような思考力や記憶力の低下が、より強く現れるということです。
私たちの将来や生活への影響
今回の研究結果は、CTEという病気への認識を大きく変えるものです。
これまで認知症の原因といえばアルツハイマー病が最も知られていましたが、CTEも認知症の主要な原因として認識されるようになるでしょう。
これにより、頭部外傷の経験がある方が、もし認知症のような症状を感じた場合、医療機関ではCTEの可能性も考えて診察するようになるかもしれません。
結果として、アルツハイマー病と誤診されるケースが減り、より適切な診断につながる可能性があります。
また、この研究は、生きている間にCTEを診断する方法の開発を加速させることにもつながります。
現在のところ、CTEの確定診断は、残念ながら亡くなった後の脳の検査でしかできません。
しかし、将来的にPET検査などの技術が進歩すれば、生前に診断できるようになるかもしれません。
私たちの生活においては、頭部への衝撃を避けることの重要性が改めて強調されます。
スポーツをする際は、ヘルメットなどの保護具を正しく着用し、安全に配慮することが大切です。
もし過去に頭部への強い衝撃を受けた経験があり、最近、物忘れや思考力の低下が気になる場合は、かかりつけ医や専門医に相談してみましょう。
日頃からバランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠を心がけ、脳の健康を守る生活習慣を続けることが、認知症予防の第一歩となります。



