アルツハイマー病は多くの人が不安を感じる病気です。しかし、最近の研究では、日々の生活で頭を使う活動が、この病気の発症を遅らせる可能性が示されています。一体どのような活動が、私たちの脳を守る力になるのでしょうか。

📍 10秒でわかるニュースの要点

  • 一生涯にわたる知的活動がアルツハイマー病の発症を平均5年遅らせる可能性が示唆されました。
  • 読書やチェスなど、頭を刺激する活動が多い人ほど認知機能の低下リスクが低いことが判明しました。
  • 社会的な交流や運動、健康的な食事も、認知症予防に繋がる重要な要素とされています。

情報ソース: 元記事を読む

ニュースの内容をわかりやすく解説

今回注目されている研究は、アメリカの神経学会誌「Neurology」で発表されました。 この研究では、平均年齢80歳の約2,000人もの大人を対象に、彼らが子どもの頃からどのような活動をしてきたかを詳しく調査しました。そして、その活動内容と認知機能の変化との関係を長期間にわたって調べたものです。

結果として、知的刺激(脳を使う活動)が豊かな生活を送ってきた人は、そうでない人に比べて、アルツハイマー病の発症が平均で5年遅れることが分かりました。 また、軽度認知障害(もの忘れなどが気になるが、日常生活に支障がない状態)の発症も平均7年遅れるという結果が出ています。 生涯にわたる知的な活動が多い上位10%の人は、アルツハイマー病を平均94歳で発症しました。一方、下位10%の人は平均88歳で発症しました。

具体的にどのような活動が効果的だったのでしょうか。研究では、人生の段階ごとに異なる活動が挙げられています。若い頃(18歳まで)には、本を読んでもらったり、自分で本を読んだり、新聞や地図帳に触れたり、外国語を5年以上学んだりすることが含まれます。 中年期には、読書や文章を書くこと、雑誌の定期購読、図書館の利用、博物館への訪問などが挙げられました。 そして、高齢期(80歳以降)には、クロスワードパズルやチェスなどのゲームを楽しむことが有効だとされています。 これらの活動を通じて、脳が常に刺激を受け、活性化されることが、認知症の予防に繋がると考えられます。

この研究は、日々の生活の質が脳の老化に良い影響を与えるという考え方を強く後押しするものです。 別の研究でも、音楽を聴いたり楽器を演奏したりする人、ダンスをする人なども、認知機能の低下が少ないことが示されています。 また、社会的孤立を避けることの重要性も指摘されています。 つまり、単に知識を詰め込むだけでなく、様々な形で脳を使い、人とのつながりを持つことが大切だということです。

私たちの将来や生活への影響

今回の研究結果は、アルツハイマー病の発症時期を遅らせるための具体的なヒントを与えてくれます。認知症は加齢や遺伝も関係しますが、実はその約40%から45%は、生活習慣の改善で予防できる可能性があるとされています。 特に、今回の研究で示されたような「知的活動」は、比較的簡単に日々の生活に取り入れられるものが多いです。例えば、読み書きを習慣にする、パズルを解く、新しいことを学ぶなど、小さな積み重ねが将来の脳の健康に繋がるのです。

日本における認知症の危険因子としては、難聴、運動不足、高LDLコレステロール(悪玉コレステロール)などが挙げられます。 これらの要因を少しでも改善することで、将来的には多くの認知症の発症を防げると期待されています。 脳を健康に保つためには、適度な運動やバランスの取れた食事、社会との積極的な関わりも非常に大切です。 血管の健康も、脳の老廃物(アミロイドβなど)を排出するために重要であり、生活習慣病の管理が認知症予防に繋がります。

今回のニュースは、私たち一人ひとりが日々の生活の中で意識を変えることで、認知症のリスクを減らせるという希望を示してくれました。若い頃から知的活動を続けることはもちろん、高齢になってからでも始めることに遅すぎることはありません。今日から、何か一つでも新しいことに挑戦したり、昔好きだった読書を再開したりしてみてはいかがでしょうか。脳はいくつになっても成長し、変化する力を持っています。その力を最大限に引き出すために、積極的に学び、楽しみ、そして社会とつながり続けることが、明るい未来への第一歩となるでしょう。